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コールセンターなどのお問い合わせ対応窓口で重要なのはナレッジだという話をしました。

では、ナレッジを構築するのに、どのようなシステムがあるのか、の前に、どのような要件があるとよいか。

  • 検索機能:必要な情報が迅速にヒットする
  • 視認性:ヒットした内容を対応する人が見て、悩まずに回答内容がわかる
  • メンテナンス性:ナレッジを作成する人がストレスなく短時間で作成できる

などが考えられる。

■検索機能

ナレッジを構築する場合、ナレッジに入れ込む情報を推敲するのはけっこう大変。
推敲から漏れた情報を見たい場合、別の入り口から辿っていかなければならないのは苦痛。
情報を整理する場合、可能な限りワンストップで情報にアクセスできるのがベスト。
例えば、インターネット上の情報を探すときにGoogleやYahoo!で探すみたいに、窓口対応の情報を探すポータルサイトのようなものがあるのが望ましい。

例えば、よくある話だが、FAQは公開しているサイトで検索、操作マニュアルはマニュアル本の索引機能で引く、マニュアルにもFAQにもないTipsは窓口の共有資料を確認、クライアント様の社外秘の情報はクライアント様とベンダーの共有サイトで調べる、など、エンドユーザー様の一つのお問い合わせに対し、確認するサイトや資料が複数あればあった数だけ、対応員の負担は増え、時間もかかる。結局、エンドユーザー様へ回答するまでに時間がかかる。ベテランの対応員でないと迅速・正確に対応できない、という状態となる。
ベテランの対応員がスマートな対応をし、新人の対応がスマートに対応できないのは当たり前、と考えるかもしれないが、私はそうは考えない(多少の慣れ、不慣れはあるだろうけど)。

スマートな対応ができる大きな要因は、社内の情報にどれだけ精通しているか、という部分が大きいからだ。

社内のポータルサイトで検索すれば、必要な情報に確実にアクセスできる、という状態を作成できれば、ベテランと新人の差はだいぶ縮まるのではないか。
その先には、AIなどによる音声応答であったり、LINEやチャットボットなどによる自動応答がある。
ヒットした情報から公開しているマニュアルに飛ぶなり、社外秘の情報が記載されているファイルに飛ぶなりがあってもいい。

■視認性

■メンテナンス性


システムとしては、
Microsoft ExcelでQ&Aを作成する
PCにExcelがインストールされていればコストはかからない
HTMLなどブラウザで閲覧できる形式のファイルで作成する
検索機能を組み込めたり、フローチャートなども、リンクを駆使すれば見やすく、わかりやすく作れるかもしれない
ExcelやWordで原案を作ってMHTML形式で書き出して利用してしまうという力技もあるかも
Redmine
研究室のRedmineのナレッジベースについて
無料で使える
sAI Search(サイサーチ)
10もの分岐が分かれたFAQを作成
今回たまたま目にしたのですが、だいぶ気になるシステムではある
ナレッジリング
問い合わせ頻度の高い情報をわかりやすくナレッジリングに登録するだけ!
全文検索にも対応している模様
「情報を整理」するという感じではないですね。
Confluence
ナレッジについては、「チームの集合知を活用して、誰もが見つけやすい答えを用意することで時間を節約します。」
といううたい文句。
全体としては「Confluence は、知識を集め、共同作業するための リモートでも使いやすい チームのワークスペースです。」
ということで、ナレッジシステムというよりは、グループウェアに近そう。
動作が若干もたつき気味な印象がある
電話対応で使う場合、秒単位でお客様対応をするわけなので、動作が遅かったり、動作が安定しないのは大きなマイナス
CBFAQ(ConceptBase FAQ)
少し古そうですが、軽快に動く
類似システムを使ったことがあり、画像を入れることができなかったのが非常に残念でしたが、けっこう好みのシステムでした

2016年9月の記事だけど、このようなシステムを組める企業はまだまだ少ない。
みずほ銀行のコールセンターで人工知能を積極的に使った取り組み PepperとIBM Watsonの導入事例を動画で公開

ナレッジシステムの重要性について、私が伝えたいことの一部が実例付きで記載されているサイトがあったので、紹介します。
シリーズ:KCS⑤ KCSを活用したコールセンターの事例とは
いきなり「こういった取り組みをしてきた結果、」という文言から始まる文章の引用となりますが、結論は、最後の二行です。
前半部分は、引用する前までに記載していたいくつかの具体的な取り組みについて書かれています。

こういった取り組みをしてきた結果、どのような成果が得られたかというと、まずは1人あたりのコール処理能力が25%改善したということです。さらに、一次解決率も増加しエスカレーション率は減少していったようです。

1人あたりの生産性が高くなっていきますと、人件費を抑えることもできるようになります。結果、ROI(費用対効果)は15倍に増加しました。

また、解決率の増加やエスカレーションが少ないことからお客さまより信頼を得ることにもつながり、ビジネスとしても多方面へ拡大していくことになったようです。

KCSについて改めてまとめますと、「ナレッジ」を中心に据えてサポートを行うことが重要であり、「コンテンツ作成」は最重要という位置付けだということがお分かりいただけるかと思います。

ちなみにKSCとは、Knowledge Center Supportのことで、米国の非営利団体である「サービスイノベーションコンソーシアム」が10年に及ぶ調査と実践を通じて発表したものとのこと。

米国の非営利団体である「サービスイノベーションコンソーシアム」には、Cisco・HP・Microsoft・Oracle・Sun・Symantecなど多くの企業が参画しており、「サポートセンターのナレッジをより有効に問題解決につなげるにはどうしたら良いか」について各企業で議論されてきた「結晶」が形になったと言えるかもしれません。

日本のコールセンター、コンタクトセンターがままごとに思えたりしますね。
※アウトバウンドや営業系の窓口は少し異なるとは思います。