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同じ勤務年数の人が同じ作業をしていても、ミスが多い人とミスが少ない人がいる。
これは個人差だ。

同じ作業をしていても、新人の頃はミスが少なく、慣れてくるとミスが減る。
これは、集中力を効率よく使えるようになったからだ。


集中力は有限だ。
気を取られることが多ければ多いほど集中力は削られていき、重要なところでミスをしてしまう。

新人の頃は、とにかく、自分が発した言葉、自分が発せられた言葉の一から十まで一言一句注意を払っている(かもしれない)。
また、社内パソコンへのログイン方法からコピー機の使い方に至るまで一つ一つおっかなびっくり手順を確認しながら作業をしている。
そこで少しずつ集中力が削られていく。
結果、成果物に見落としが発生する機会がベテランよりも多くなる。
誤字脱字があったりコピーする枚数が少なかったりメールの宛先を間違えてしまったり。

慣れてくれば、社内パソコンへのログインはルーチンででき、コピー機も自分が使う機能を知ってしまえば頭を使わずにコピーできるようになる。
結果、資料作成に注力できる集中力が増えてミスも減る。

例えれば以下のような感じになる。
■新人
                        集中力の上限値:10
           出社中の周りへの気遣いに費やされる集中力:2
 社内システム、社内備品の取り扱いへの不慣れから使われる集中力:2
                    資料作成に使える集中力:6
 ※「資料作成に使える集中力」だが、資料作成方法の検討、盛り込む内容の精査、見せ方の検討などなど、
  特に初めて携わる仕事の場合はすべてにおいて集中力が削られていく。
  その分、資料の内容にかけられる集中力が削られていくことになる。
 ※ここでは、集中力=頭を使うことができるリソース というような意味合いとなります。

■ベテラン
                        集中力の上限値:10
           出社中の周りへの気遣いに費やされる集中力:1
 社内システム、社内備品の取り扱いへの不慣れから使われる集中力:1
                    資料作成に使える集中力:8
 ※「資料作成に使える集中力」だが、今までの類似案件を模倣して作成すれば、
  資料の内容にかけられる集中力は相対的に高くなっていく

ミスを指摘するときには、上記と個人差(個々人の特徴)も考慮したいものです。

本当にミスを減らしたいのであれば、

  • 集中力は有限
  • 不慣れな人ほど、あちこちに集中力を分散させてしまう

ということを考慮して対策を立てたほうがいい。

また、インシデントになりうるミスとそうでないミス、チェック項目にも重み付けがあったほうがよいでしょう。

例えば、メールの送信先間違い、メール本文の名前間違い、添付ファイル間違い、などはインシデント。
メール送信で、CCに自社の上司を入れなかった、署名の付け忘れ、句読点の打ち間違いなど全体の内容に影響しない誤字脱字、などは、ミスがないに越したことはないが、叱責するほど目くじらを立てることもないレベルのミスとも言える(メール受信者からは、精度の低い仕事をする人だと認識される可能性はありますけど)。

まずはインシデントが起きないようにすることが大事。

さらに言えば、インシデントが起きないようにするには、インシデントが起きえないシステムを構築するのがベスト。
極端な話、メール本文に固有名詞が入っていたら送信できない、メールにファイルが添付していたら送信できない、などの制限を設ければ、該当のインシデントは起きえない。

もちろん、通常のビジネスメールでは上記の運用は難しい部分もあるだろう。
しかし、サポート窓口や営業窓口のような不特定多数を相手にするメールであれば、十分可能ではないか。

少し話が横道に逸れた。

ミスを減らす対策としては、
インシデントとなりうるミスをなくすのを第一に考える。
そして、可能な限り、ミスが発生しないようなシステムの構築に尽力する。

働く人が余計なことで集中力が削られないような環境を継続的に作っていく、
ミスが発生しにくいシステムを構築する、
というのが管理者の仕事となるでしょう。

集中力は有限ではあるが、気分転換やまったく別の仕事をすることなどで回復もする。
メールを送信する前に10分間休憩を取ったあと最終確認してから送信する、などもよいかもしれません。
現実的ではないかもしれませんが。

インシデントとなりうるミス以外のミスについては、個人差なども考慮しつつ、そのあとに対策を考えればよいのではないか。
働き手それぞれ、得手不得手があるのだから。